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    KPIとは?KGIとの違いや正しい設定方法について徹底解説

    ビジネスや組織の目標達成を測定する上で、KPI(Key Performance Indicator)は中心的な役割を担います。

    KPIは業績評価や目標達成のための重要な指標であり、組織のパフォーマンスを定量的に評価するために使用されます。

    この記事では、まずKPIの基本を説明し、次にKPIとKGI(Key Goal Indicator)、さらにはKFS(Key Financial Statistics)やOKR(Objectives and Key Results)との違いについて解説します。

    KPIの基礎知識を見ていった後に、正しい設定方法と具体的な職種別の設定例を通じて、より効果的な指標の設計方法をお伝えします。

    KPIとは

    KPIとは
    KPI(Key Performance Indicator)は、組織や個人の業績を測定し、目標達成の進行具合を評価するための指標です。

    組織が事前に定めた戦略的目標に対して、どれだけ効果的に進んでいるかを具体的な数値で示します。

    この数値を用いることで、マネジメントは事業の方向性を正確に把握し、必要に応じて戦略の調整が可能になります。

    評価指標は、KPI以外にも複数存在し、それぞれ違った特徴と役割を担っています。

    ここからは、KPIと密接に関連する他の指標、すなわちKGI(Key Goal Indicator)、KFS(Key Financial Statistic)、そしてOKR(Objectives and Key Results)との違いについて解説していきます。

    これらの理解は、組織の戦略を適切に立てるためにKeyとなります。

    KGI、KFS、OKRとの違い

    KPIとは目標を達成するための中間的な指標であるため、その途中においてKGI、KFS、OKRなどを設定することで、よりプロセスを明確にすることが求められます。

    ここでは「KGI」「KFS」「OKR」がKPIとどのように違うのかについて確認していきます。

    KGIとは

    1つ目に、KGI(Key Goal Indicator)は組織全体の最終目標を達成するために設定される指標で、主に戦略的な目的や組織の長期的な成功を測定するために使用されます。

    この指標は、KPIと比較してより広範囲の目標に対応しており、通常は定量的で具体的な数値で表されます。

    例えば、「顧客満足度の向上」を目標とする場合、具体的なKGIは「現在の80%から年末までに90%への顧客満足度スコアの向上」と数値で設定されます。

    これにより、組織は定期的な顧客満足度調査を通じて具体的な進捗を測定し、目標達成を目指します。

    KFSとは

    2つ目に、KFS(Key Financial Statistic)は、企業の財務状況を示す主要な指標です。

    これには収益、利益、キャッシュフローなどの財務データが含まれ、企業の経済的健全性を評価するために使用されます。

    KFSは財務パフォーマンスの監視に役立ち、企業が財務目標に対してどの程度進捗しているかを具体的に示します。

    このため、KFSは経済的側面を重視し、経営陣にとって重要な意思決定ツールとなることが多いです。

    OKRとは

    最後に、OKR(Objectives and Key Results)は、目標管理フレームワークの一つで、企業や組織が戦略的な目標を設定し、それらの達成状況を明確に追跡するために用いられます。

    これは、明確で測定可能な成果を指標として、個々の従業員やチームがより大きな組織目標にどのように繋げているかを明示することができます。

    また、OKRの使用により、組織全体が短期間で重要な成果を出すことにコミットするようになり、戦略的な目標達成に向けた業務プロセスを可視化します。

    これによって、全社員が共通の目標に向かって協力しやすくなり、また、期間の終わりには達成度を評価して次のステップの計画を立てることが可能になります。

    ここまでお読みいただいた方はもうお分かりかと思いますが、KPIは、組織が戦略的な目標に向かって正しい道を進んでいるかを示すバロメーターの役割を果たします。

    効果的なKPIは、ビジネスの目標を達成するために中心的な役割を担い、その運営を最適化するための道筋を示してくれます。

    では、KPIを設定する目的と、その重要な理由はいったい何なのでしょうか。

    詳しく見ていきましょう。

    KPIを設定する目的・なぜ重要なのか

    KPIを設定する主な目的は以下4つです。

    1. 戦略的目標の達成を推進する
    2. パフォーマンスの透明性を確保
    3. 効率的な意思決定をサポート
    4. 継続的な改善を促進

    それぞれ解説していきます。

    1.戦略的目標の達成を推進する

    まずは、目標と現状のギャップを明確にし、何を改善すべきかを特定するためにKPIを用います。

    例えば、顧客満足度を向上させたい企業は、顧客サービスの応答時間や解決率など、具体的なKPIを設定します。

    2.パフォーマンスの透明性を確保

    次に、KPIが組織内で非常に重要である理由の一つは、全体のパフォーマンスの透明性を確保することです。

    これにより、組織のすべてのメンバーが共通の目標に向かって協力し、各個人の貢献がはっきりと可視化されるため、全員が一致団結して取り組むことが可能になります。

    3.効率的な意思決定をサポート

    3つ目に、KPIは、データに基づいた意思決定をサポートするための重要なツールとなります。

    データを用いて戦略を調整し、リソースを最適な活動に集中させることができます。

    これにより、組織はリソースを無駄にすることなく、より効率的に運営を行うことが可能になります。

    4.継続的な改善を促進

    最後に、KPIは継続的な改善のプロセスに不可欠です。

    定期的なレビューを通じて、KPIが示す結果を評価し、必要な改善策を立てることができます。

    これは、組織全体の効率を向上させ、長期的な成果をもたらすことに繋がります。

    以上がKPIを設定する主な目的とその重要性です。

    KPIを適切に設定し、定期的にこれらの指標を見直すことで、ビジネスのパフォーマンスを最大化し、組織の目標達成を効果的に支援することができます。

    ではここからは、効果的なKPIの設定方法について詳しく解説していきます。

    ビジョンを明確にし、具体的な成果を達成するためにどのKPIが重要かを理解しましょう。

    KPIの設定方法

    KPIの設定方法は以下のステップです。

    1.KGI⇨KFS⇨KPIの順に設定

    KPI設定の過程では、まずは組織全体の戦略的な目標を定義することから始まります。

    これらの目標は、KGI(Key Goal Indicators)を用いて特定され、組織が達成すべき主要な成果として位置づけられます。

    例えば、顧客満足度を10%向上、売上1億円などの項目がKGIとして設定されることが一般的です。

    次に、これらの戦略的な目標を支える財務的指標であるKFS(Key Financial Statistics)を設定します。

    KFSは収益成長率、利益率、負債比率など、組織の財務状況を示す重要な指標として機能し、戦略的な目標が財務面でどのように反映されているかを評価します。

    最終的に、KPIはこれらのKGIとKFSを踏まえた上で設定されます。

    KPIは、特定のプロセスや活動が全体の目標からどれくらい達成されているかを評価するためのもので、具体的な業務の進捗度や効果を測定するために用いられます。

    2.KPIツリー


    KPIツリー
    効果的なKPI設定のためには、KPIツリーの作成が推奨されます。

    これは、主なKPIから派生するサブKPIまでを階層的に示し、各指標がどのように互いに関連しているかを視覚的に表現するツールです。

    このツリーを用いることで、各部門やチームが自分たちの活動が全体の目標にどう繋げられているかを具体的に把握できます。

    KPIが適切に設定出来れば、ビジネスの成果を具体的かつ定量的に捉えるようになりますし、PDCAも良い循環で回るようになります。

    ここからは、効果的なKPIの設定に不可欠なポイントを紹介し、特に重要なSMART原則について解説します。

    KPIの設定のポイント・SMARTとは

    KPIの設定において重要なポイントは次の通りです。

    SMARTの法則

    SMARTの法則
    最初に取り上げる重要なポイントは、KPIをSMART原則に沿って設定することです。この原則は、以下のように構成されます。

    Specific(具体的な): KPIは具体的な行動や結果に焦点を当てるべきです。あいまいさを排除し、何を達成する必要があるかを明確に定義します。

    Measurable(測定可能な): 進捗を数値や明確な基準で追跡できるように、測定可能な目標を設定します。これにより、目標達成の程度を正確に評価することが可能になります。

    Achievable(達成可能な): 目標は現実的で挑戦的であるべきですが、同時に達成が可能な範囲内に設定することが重要です。過度に難しい目標はモチベーションを低下させてしまう可能性があります。

    Relevant(関連性のある): KPIは組織全体の目標や戦略と密接に関連している必要があります。関連性のあるKPIは、組織の長期的な成功に寄与する活動へと焦点を合わせることができます。

    Time-bound(時間的に制限された): 成果を測定するための明確な期限を設けます。これにより、チームは期限内に目標を達成するために必要なステップを計画し、実行することが求められます。

    リアルタイムデータ

    次に重要なのは、KPI設定にリアルタイムデータを活用することです。

    リアルタイムデータを基にすることで、組織は変化する市場環境や内部の動きに迅速に対応し、必要に応じて戦略を調整することが可能になります。

    これにより、データの正確性を保ちつつ、タイムリーに反応することができ、組織全体の機敏さを高めることができます。

    これらのポイントを踏まえ、KPIを設定することで、組織はその成果を明確に把握し、効率的に目標に向かって進むことができるようになります。

    では、実際にKPIを設定する場合、職種ごとにどのようなKPIの設定内容があるのでしょうか。

    ここからは、具体的な職種ごとのKPI設定例について解説します。

    職種別KPI設定の例

    ここでは、異なる職種ごとのKPI設定の例を紹介します。

    1.営業職

    KPI1:売上達成率(月次または四半期ごと)

    このKPIは、営業担当者個々あるいは営業チーム全体の売上目標に対する達成度を示します。

    売上目標と実際の売上の比較により、定期的に売上達成率を計測し、戦略の効果を評価します。

    達成率が高ければ営業戦略が成功している証拠であり、低い場合は改善が必要です。

    KPI2:新規顧客獲得数(月次)

    営業効果のもう一つの重要な尺度は新規顧客の獲得です。

    新規顧客獲得数は、営業活動がどれだけ新たな顧客層を引き寄せているかを示し、企業の発展に繋がります。

    この数値は営業チームの拡大力を定量的に把握するために必要です。

    2.マーケティング職

    KPI1:ウェブサイト訪問者数(月次)

    ウェブサイトへの訪問者数は、オンラインでのブランド認知度とマーケティング活動の影響力を測定します。

    月次で訪問者数の増減を分析することで、マーケティングの取り組みがどの程度効果を発揮しているかを把握できます。

    訪問者数が増加することは、マーケティング戦略が順調であると言えます。

    KPI2:マーケティングキャンペーンのクリックスルー率(CTR)

    CTRはデジタル広告やマーケティングキャンペーンの効果を測る基本的なKPIです。

    この数値は、キャンペーンがどれだけ効果的にターゲットオーディエンスの注意を引きつけ、行動を促しているかを示します。

    CTRが高ければ、キャンペーンは関連性があり、顧客に響いていると評価できます。

    3.人事職

    KPI1:従業員満足度スコア(年次)

    従業員満足度は、組織内での労働環境、文化、報酬などがどれだけ従業員に受け入れられているかを測定するKPIです。

    定期的に従業員からの直接、フィードバックやアンケートを集めて評価項目と照らし合わせ、これに基づいて必要な改善策を選定します。

    高い満足度は、従業員のモチベーション向上と組織への忠誠心を反映し、生産性と定着率の向上に直接繋がります。

    KPI2:新入社員の選考期間(平均)

    新しい従業員を効率良く採用しているかどうかを評価するために、選考期間の平均値を計測するKPIです。

    採用プロセスの迅速化は、市場における人材確保のスピードを上げ、優秀な候補者の機会損失を防ぐために重要です。

    効率的且つ短い選考期間は、優れた採用プロセスを持っていることの表れであり、業界内での競争優位を保つための一因となります。

    これらのKPI設定例は、各職種の業務に特有の目標とパフォーマンス評価に関連しています。

    各組織はこれらのKPIをカスタマイズし、具体的な目標に合わせて調整できます。 KPIは業績評価と改善のために不可欠です。

    最後に効果的なKPIを設定するためのポイントについて解説します。

    効果的なKPIを設定するためのポイント

    組織が効果的なKPIを設定する際に考慮すべき重要なポイントは以下の5点です。

    1. 明確なビジョンと目標の設定
    2. 具体的で測定可能な指標の選択
    3. 時期と頻度の適切な設定
    4. チームとの共有と透明性
    5. 定期的なモニタリングと改善

    それぞれ解説していきます。

    1.明確なビジョンと目標の設定

    まず、組織が効果的なKPIを設定するためには、組織のビジョンと目標を明確に定義することが必要です。

    ビジョンと目標が明確であれば、KPIはそれらに直結し、ビジネス戦略の実現に向けて効果的に活用されます。

    2.具体的で測定可能な指標の選択

    次に重要なのは、具体的で測定可能な指標を選択することです。

    KPIは数値や定量的な指標であるべきであり、ビジネスの成果を定量的に把握する上で不可欠です。

    適切な指標を選ぶことで、目標達成の進捗状況を明確に把握することができます。

    3.時期と頻度の適切な設定

    3つ目に、KPIの評価期間や頻度を適切に設定することも重要です。

    適切な評価期間と頻度を設定することで、ビジネスの進捗状況や問題点を迅速に把握し、必要な対策を行うことができます。

    4.チームとの共有と透明性

    4つ目に、KPIの設定とその目的は、組織内のすべての関係者と共有出来るようにした方が良いです。

    透明性を確保することで、メンバーは自身の貢献度を把握し、目標達成に向けて尽力することができます。

    5.定期的なモニタリングと改善

    最後に、KPIの定期的なモニタリングと必要に応じた改善が欠かせません。

    定期的なレビューを通じて、KPIが現在のビジネス目標とズレが無いかを確認し、必要に応じて調整を行います。

    このプロセスを通じて、組織はビジネスの成功に向けて柔軟かつ効率的に進めることができます。

    これらの要点を考慮しながらKPIを設定することで、ビジネスの成功に向けた明確な道筋を描き、組織の成長と効率性を高めることができます。

    KPIを正しく設定してビジネスを成功させるために

    KPI(Key Performance Indicator)はビジネスやプロジェクトにおいて重要なゴールや目標を測定するための指標です。以下ではKPIの要点をまとめました。

    1. KPI(Key Performance Indicator)は、組織や個人の業績を測定し、目標達成の進行具合を評価するための指標です。
    2. KPIの他に、KGI(Key Goal Indicator)、KFS(Key Financial Statistic)、OKR(Objectives and Key Results)が存在します。 
    3. KPI設定の主な目的は「戦略的目標の達成を推進する」、「パフォーマンスの透明性を確保」、「効率的な意思決定をサポート」、「継続的な改善を促進」。
    4. KPIの設定はKGI⇨KFS⇨KPIの順に行い、KPIツリーを作成することが効果的。
    5. KPI設定にはSMART原則を適用し、リアルタイムデータを活用することが重要。
    6. 職種別KPI設定の例を営業、マーケティング、人事部門について紹介。
    7. KPIを正しく設定するためには明確なビジョンと目標、具体的で測定可能な指標、適切な時期と頻度、チームとの共有、定期的なモニタリングが必要。


    KPIの適切な設定と活用はビジネスの成果を最大化し、成功に不可欠な要素です。

    ここまで読めばもうお分かりだと思いますが、KPIは組織やプロジェクトの舵取りに役立つ道標であり、正しく活用することで明るい未来を切り拓く手助けとなります。

    明確な目標と戦略に基づいてKPIを設定し、継続的なモニタリングと改善を行うことで、ビジネスの成長と競争力を向上させましょう。

    そして読者の皆さんが成功することを願って止みません。

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